サマルカンド | シャーヒ・ズィンダ

概要と歴史
アフラシヤーブの丘(※)の南側に位置する霊廟群。シャーヒ・ズィンダは「生ける王」を意味する。
イスラム教の開祖ムハンマドのいとこにあたり、サマルカンドに最初にイスラム教を伝えたとされるクサム・イブン・アッバースが埋葬されており、さらにティムール帝の親類の廟が立ち並ぶことから、数あるサマルカンドの史跡の中でも聖地的存在となっている。霊廟群は11~19世紀にわたって建造され、主に20以上の小規模の霊廟で構成されている。

※サマルカンド北部の丘陵地帯で、紀元前から13世紀初めまでサマルカンドの町の中心地であった。チンギス・ハーンのモンゴル帝国の襲来で町は破壊され、現在は荒野となっている。


写真集「TRADITIONAL MOMENT IN UZBEKISTAN」の写真掲載ページ

P2
P4
P5
P6
P7
 

秋野メモ
今ではシャーヒ・ズィンダもサマルカンドの見所の1つとして多くの観光客で賑わっていますが、私が初めて訪れた90年代は今とは少し様子が違っていました。
クサム・イブン・アッバースというイスラム教の聖人が祀られていることもあって、レギスタン広場のような喧騒とは別世界の、厳かで神聖な雰囲気が漂っていました。
聖人を偲び、青タイルの壁面をさすりながら一人で涙を流す巡礼者の姿を見て、数あるサマルカンドの建築物の中でもこのシャーヒ・ズィンダが別格の存在感を持っていることを実感したものでした。

そんな神聖な雰囲気を強く感じ取って撮影した写真が、写真集の最初のP2の作品です。私の目の前で沸き立つ入道雲は、聖なるシャーヒ・ズィンダから天へと登っていくようでした。ウズベキスタンというと、雲一つない抜けるようなコバルトブルーの青空、というイメージが強いようですが、それだけに時折見かける雲を強く意識して観察していました。このあと、入道雲はさらに大きくなって、昼間だとは思えないほどあたりは暗くなり、激しい雨に見舞われました。


サマルカンド地図
【地図番号 1 】 シャーヒ・ズィンダ

>> 建築物一覧へ