
ヤルカンドのバスターミナル付近で宿を見つけて荷物をおろした後、私はとりあえず街の大通りを真っ直ぐ東へ向かってみた。
街の中心部には2キロほどの大通りが東西に走っていて、バスターミナルは西側の端に、そしてウイグル族のバザールは東側の端にある。バスターミナルがあるのは新市街地と呼ばれるエリアで比較的漢民族が多く、東側のバザール付近は古い街並みが残るウイグル族エリアになっている。
これは何度も書いてきたことだけれど、新疆ウイグル自治区の各都市は、民族構成比やその都市の発展の仕方が違うためか、それぞれに雰囲気が異なり、しかも初めて訪れた者にもそれが比較的感じられやすい。
ヤルカンドも例外ではなく、実際に大通りをバスターミナル付近から東のバザールへ向かって歩いているだけで、新市街の漢民族エリアと旧市街のウイグル族エリアの違いをかなりはっきりと感じることができた。
バスターミナル付近は様々な民族が行き交うため混沌としているものの、百貨店やホテルなどの新しくて大きい建物は、その周辺に密集している。そして通りを東へと進むにつれ、街並みが古くなっていく。同時に、私とすれ違う人も、漢民族よりウイグル族のほうが多くなっていくのである。
似たようなことはウイグル自治区の他の場所でも何度となくあったのだけれど、このヤルカンドは、2つのエリアの違いが私にとって最もはっきりと感じられた街だった。1本の通りをわずか数100m歩いている間にすれ違う人の顔を見ているだけで、
「このあたりが2つのエリアの境目か・・・」
「この辺でもう完全にウイグルエリアだな・・・」
といった具合に、あからさまにわかるほどなのである。
私はそんな観察をしながらゆっくりとバザール方面へ歩いていたのだが、街並みの変化やすれ違う人の顔立ち以外にも、東へ進むに連れて変わるものがもう1つあった。それは、私へ向けられる周囲の人々の視線である。
ウイグル族のエリアへ近づくほどに私をジロリと見る視線の数は増えていく。さらには、その数が増えるばかりでなく、徐々に視線の厳しさや冷たさが増していった。
(Vol.63へ続く)
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