◆◆◆ 秋野深のHTML形式メールマガジン ◆◆◆
オンライン状態でご覧いただくと画像が表示されます
◆◆◆ www.jinakino.com ◆◆◆

 バスの左手にタクラマカン砂漠の西端を、右手にパミール高原を眺め見ながら、カシュガルからヤルカンドへと向かう。所要時間は約3時間半。
 西安から50時間の列車の旅をへてこの新疆ウイグル自治区へ入り、その後も鉄道とバスを長時間乗り継ぎながら街から街へと移動してきた私にとっては、3時間半というバスの移動が、いつのまにか拍子抜けしてしまうほど短く感じられるようになっていた。

 これからヤルカンド、そしてホータンと、この旅ではじめてタクラマカン砂漠の南側を周ることになる。それは、カシュガルを離れてパミール高原のカラクリ湖やタシュクルガンへ向かった時と同様に、カシュガルまでしか敷設されていない鉄道の通るルートから外れることでもある。これまでも、新疆における鉄道の存在が、各地の民族構成比や街の変化にいかに大きな影響を与えているかを実感し続けてきた。

 しかし、タクラマカン砂漠の南側に向かうことには、鉄道ルートから離れること以外に、もう1つこれまでとは違う意味合いがある。それは、トルファン、クチャ、カシュガル、そしてパミール高原を越えてパキスタンへと向かうアジア大陸の旅の横断ルートから外れるということだ。
 厳寒の時期を除けば、多くの旅人や行商人が中国を出国してさらに西へ向かい、その逆に西からパミール高原を越えて中国へと入ってくるヨーロッパ人などが、数は多くなくとも多少はいるものだ。彼らの大半は、カシュガルを通過して東や西へ向かっていくため、宿ではそうした途上にある旅人や行商人に出会う機会も少なくない。
 ところが、そのルートから外れた位置にあるヤルカンドまでやってくると、カシュガルからバスでわずか3時間半の距離にありながら、旅をする者が溢れているような雰囲気は皆無に等しくなる。

 「シャーチョー」。漢民族はヤルカンドのことをそう呼んでいる。と言うよりも、行政上の正式名称は実際にシャーチョーで、カシュガルのバスターミナルで私が何度「ヤルカンド」と言っても、漢民族にはなかなか通じないこともあった。しかし、ウイグル族の人々は、この街を「ヤルカンド」と呼んでいる。
 街は16世紀から17世紀にかけてヤルカンド・ハン国の首都として栄えたが、現在のヤルカンドは街の中心部の通りはわずかに2キロほどで、小さなオアシスの街と言っても過言ではない。

 しかし、私がこの旅で数多く訪れた新疆ウイグル自治区の街の中でも、このヤルカンドほど第一印象が強烈だったところはない。そして、私がヤルカンドで過ごした時間を思い起こした時、この街ほど、旅の中での人との出会いが強烈な印象として残っているところもない。


Vol.62へ続く)

>> お知らせ(秋野深の作品掲載や活動など)

 NHKスペシャル『新シルクロード第2部』番組宣伝用ハガキに作品採用

 2007年4月より放映スタート予定のNHKスペシャル『新シルクロード第2部』(7回シリーズ)の番組宣伝用ハガキに、イランで撮影した作品が採用されています。


 2007年度より朝日カルチャーセンター横浜校にて講師

 2007年6月より朝日カルチャーセンター横浜校にて、秋野の作品を紹介しながら旅のエピソードをお話しする講座が開講される予定です。詳細は追ってウェブサイト上でお知らせいたします。


新メールマガジン『世界写真紀行』発行のお知らせ

 HTML形式メールマガジン『写真家・秋野深の世界写真紀行』を、2006年8月下旬より隔週でお届けします。
 これまでアメリカとアジア中心に撮影してきた作品の数々を毎回1作品、撮影地の情報やエピソードと共にお楽しみいただけます。被写体は、アメリカ西部の雄大な風景、ユーラシアの大自然、シルクロード諸国に残る歴史的建造物や宗教建築、東南アジアの子供たちなど多岐に渡ります。

  詳細・配信登録

>> デスクトップにシルクロードの壁紙作品集を!
 壁マート(GMOモバイルアンドデスクトップ株式会社)にて、秋野深のデジタル作品集「シルクロード旅情」(10枚800円)を発売中です。 ⇒ 詳細
 Docomo、Vodafone、EZ-web、H"Linkでは、携帯待ち受け画面として発売されています。

>> 秋野深(あきの・じん)について
 1970年生まれ。福岡県出身。会社員生活を経て、現在はフリーランスの写真家・紀行作家。アメリカとアジア(シルクロード、イスラム圏、東南アジア)を主なフィールドとして、自然風景、建築物、人々の生活や文化を撮り続け、雑誌やウェブでは旅のフォトエッセイの連載も手掛けている。
 2006年より、アメリカ・インディアナ大学研究所を中心とする国際的な芸術と科学の研究・展示プロジェクト「Accuracy & Aesthetics」のオフィシャルフォトグラファーとして、5年にわたって世界5大陸の10都市を訪問・撮影予定。
 ニューヨークアートギャラリー「Renee Fotouhi Fine Art」への作品登録、ナショナルジオグラフィック・WWF(世界自然保護基金)の共同制作ウェブサイトへの写真提供をはじめ、作品は海外の媒体でも紹介されている。
 『イラン・思考の旅』で、第1回文学メルマ新人賞紀行文部門大賞を受賞。アメリカで開催された「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード」の2004、2005、2006のプロフェッショナル・ネイチャー/ランドスケープ部門で「オーナブルメンション」賞を3年連続受賞。
 ⇒ 活動や作品の詳細については、Jin Akino Photography をご覧ください。
・バックナンバーの閲覧はこちらから
・配信の登録解除はこちらから
・このメールマガジンに対する感想、秋野深へのお問い合わせ等は、akinojin@ybb.ne.jp

Copyright© by Jin Akino. All rights reserved.掲載記事・画像の無断転載を禁じます