2007年2月下旬開講! 一眼レフ初心者向けの写真教室 申し込み受け付け中!
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 パミール高原のカラコルムハイウェイをバスで下り、私は1週間ぶりにカシュガルへと戻ってきた。
 トルファンからこの旅をはじめ、鉄道やバスを乗り継いで1週間前にカシュガルへ辿り着いた時には、広大なタクラマカン砂漠の果てにカシュガルのような大都会があることに驚き、古くからウイグル文化の中心地として栄えてきた街に足を踏み入れたことに対する感慨を覚えたものだった。
 そして今度はカラクリ湖畔やタシュクルガンで約1週間を過ごした後に、再び目の当たりにするカシュガル。人の気配などほとんどない標高3000〜4000mの高原の風景の後に目にする都市の印象は、タクラマカン砂漠を越えた後に見た初めてのカシュガルの印象と重なる部分がなかったわけではない。
 カラクリ湖畔で世話になったキルギス族のサディックの言葉をまた思い出す。「街では高い建物が視界をさえぎっていて空が見えないから、長い時間いると息苦しくなる」
 高層ビルはもちろんなのだが、平屋であっても密集して建てられていると、その近くを歩くだけで視界が極端に狭くなることを実感してしまう。1週間見晴らしのよいところで過ごすとこんなにも違うものかと自分でも不思議に思うくらいだ。

 しかし、再びカシュガルへ戻ってきた私の印象として最も強烈だったのは、そんな大自然と大都会の風景の違いなどではなかった。
 カラクリ湖畔の村やタシュクルガンとの比較だけならば、これと言って感じることはないのかもしれない。けれども、カラクリ湖から山をさらに越えた自給自足の村で見た光景やそこにある価値観に触れた後、久しぶりのカシュガルで都市生活を送る人々の様を目にすると、そのあまりの違いに目を奪われずにはいられないのである。

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 私は、カシュガルのバスターミナルでバスを降り、今度はタクラマカン砂漠の南側に位置するヤルカンドという街へ向かうため、別のバスターミナルへと歩いていた。
 誰を見ても何を見ても、脳裏に浮かぶのはパミール高原の奥地で見た自給自足の暮らしである。人が生きているという意味では、なんら変わりはないというのに、自分の周囲を行き交うカシュガルの人々とは、毎日の営みが持つ意味合いがまるで違っていた。
 街には、現金を手にして生活を継続させるために仕事に精を出す人は大勢いるが、生命の維持のために一挙手一投足を食の確保に傾ける人はいない。ある人はバスを運転し、ある人は電化製品を売る。ある人は客のために料理を作り、ある人は家の修理をする。そこに見えるのは、ウイグル族の伝統でも中国の新しい街の姿でもなく、多くの人がそうするように職業に従事する人間の姿だった。そしてそこには、日本で写真関係の仕事をする自分自身の姿も同じように存在していた。選択肢がどれほどあるのかどれほどないのか、よくわからない中で結局自分で選んで何らかの職業に就き、生命の維持とはかけ離れた目的のために日々の時間を費やし、充足感の有無を問う。
 こんなことを考えるのは稚拙すぎるのだろうかとも自問しながら、ヤルカンド行きのバスを探す。
 けれども、こんな思いも脳裏をよぎった。
 自給自足の世界の人々が、自然に制約され、自然の恵みに生かされ、それ以外の生き方の選択肢なく生きているとするなら、街で生きる人間は、自らがほとんど決定も意識もせずに作り上げられた社会そのものや制度といったものに時に制約され、時に守られて生きているのではないかと。職業に従事して生きることも、結局その枠組みの中の1つの行為に過ぎないと言えるのかもしれない。

 カシュガルのバスターミナルを出発したヤルカンド行きのバスの周囲には、30分もたたないうちに郊外の農村地帯が広がるようになった。タクラマカン砂漠の砂塵から農地を守る防砂林の並木の色を見る限りでは、まだ初秋と言うには早いようだ。数日前には標高3000mを越える高地で秋の色に包まれていたこともあって、バスの車窓から夏の香りが残る農村の緑の木々を眺めていると、季節が逆戻りしたような不思議な感覚に浸ったものだった。


Vol.61へ続く)

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 NHKスペシャル『新シルクロード第2部』番組宣伝用ハガキに作品採用

 2007年4月より放映スタート予定のNHKスペシャル『新シルクロード第2部』(7回シリーズ)の番組宣伝用ハガキに、イランで撮影した作品が採用されています。


 2007年度より朝日カルチャーセンター横浜校にて講師

 2007年6月より朝日カルチャーセンター横浜校にて、秋野の作品を紹介しながら旅のエピソードをお話しする講座が開講される予定です。詳細は追ってウェブサイト上でお知らせいたします。



 秋野深による、一眼レフ初心者向けの写真教室『はじめての一眼レフ 〜 シャッタースピードと絞りの基本をマスター 〜』の申し込み受け付けを始めました。
 「一眼レフカメラを持っているけど、いつもオート設定で撮影・・・」「シャッタースピードや絞りを自分で変えて撮ってみたいけどよくわからない・・・」そんな一眼レフ初心者のために、テーマを「露出」「シャッタースピード」「絞り」に絞った写真教室です。これらを使いこなせるようになると表現の幅はぐっと広がり、「こんなふうに撮りたい」という意欲も出てきます。
 サンプル写真としてご紹介するのは、秋野深が世界各地で撮影した写真です。旅や撮影のエピソードも合わせてお楽しみいただけます。

 日程:2007年2月21日〜3月10日(全3回、水曜or土曜で毎週選択制)
 場所:東京外国語大学本郷サテライト(東京・御茶ノ水)

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 これまでアメリカとアジア中心に撮影してきた作品の数々を毎回1作品、撮影地の情報やエピソードと共にお楽しみいただけます。被写体は、アメリカ西部の雄大な風景、ユーラシアの大自然、シルクロード諸国に残る歴史的建造物や宗教建築、東南アジアの子供たちなど多岐に渡ります。

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>> 秋野深(あきの・じん)について
 1970年生まれ。福岡県出身。会社員生活を経て、現在はフリーランスの写真家・紀行作家。アメリカとアジア(シルクロード、イスラム圏、東南アジア)を主なフィールドとして、自然風景、建築物、人々の生活や文化を撮り続け、雑誌やウェブでは旅のフォトエッセイの連載も手掛けている。
 2006年より、アメリカ・インディアナ大学研究所を中心とする国際的な芸術と科学の研究・展示プロジェクト「Accuracy & Aesthetics」のオフィシャルフォトグラファーとして、5年にわたって世界5大陸の10都市を訪問・撮影予定。
 ニューヨークアートギャラリー「Renee Fotouhi Fine Art」への作品登録、ナショナルジオグラフィック・WWF(世界自然保護基金)の共同制作ウェブサイトへの写真提供をはじめ、作品は海外の媒体でも紹介されている。
 『イラン・思考の旅』で、第1回文学メルマ新人賞紀行文部門大賞を受賞。アメリカで開催された「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード」の2004、2005、2006のプロフェッショナル・ネイチャー/ランドスケープ部門で「オーナブルメンション」賞を3年連続受賞。
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