2007年2月開講! 一眼レフ初心者向けの写真教室 申し込み受け付け中!
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 カラコルムハイウェイをカシュガルへと向かうバスの中で中国語と英語のテープを聴いている、キルギス族の少年。カラクリ湖畔の村で生まれ育ち、カシュガルの小学校に越境入学までして通う彼は、村の期待を一心に背負う存在なのかも知れない。

 私の個人的な想像に過ぎないことではあるけれども、彼が初めてカシュガルに生活の場を移した時の驚きやカルチャーショックはどんなものだったのだろう、と考えてしまう。
 キルギス族しかいない、キルギス語しか必要のない、しかも自給自足に近いカラクリ湖畔での暮らし。そして古くからウイグル文化の中心地として栄え、現在は漢民族人口も増え、町並みは日に日に近代化され高層ビルも珍しくないカシュガルでの暮らし。
 大自然と大都会という違いに加えて、彼を取り巻く民族や風習が突然変わったことに、幼い彼はどう順応し、どんな葛藤にまみれたことだろう。
 同じトルコ系の少数民族で、言語が似通っていても、キルギス族とウイグル族ではこうも違うものかと驚きがあったのかもしれない。彼が通う学校が漢民族の多い学校だったならば、順応にはさらに時間と気苦労を要したのかもしれない。

 バスは、パミール高原の雪解け水の流れを何度となく横切り、その高度を徐々に下げていく。舗装のための道路工事をしている現場を迂回するため、バスはたびたびカラコルムハイウェイを下りては凸凹の砂利道や粒子の細かい砂が堆積した場所を、砂煙を上げながらゆっくりと進んでいく。
 それでも、私の隣で語学テープに聴き入るキルギス族の少年の真剣な表情は変わらない。

 私がさらに想像を巡らせてしまうのは、彼のその後の人生の選択だ。
 自給自足の世界に生まれ、そこで他の生き方の選択肢なく生きていくことと、職業や現金が溢れる世界で生きていくこととでは、生きていく上での時間に対する意味付けがずいぶん違うような気がする。これは、パミール高原に滞在中、職業や現金が存在する世界のことを考える時に、常に同時に頭をよぎることでもあった。

 自給自足の世界では、言うまでもなく、生命の維持のための食の確保が唯一にして最優先事項だろう。特に過酷な気象条件の下では、食となる家畜の飼育や農作物の栽培が容易ではなく、毎日の大半の活動はそのために費やされる。これは牧畜や農業を職業として選択することは次元が違い、現金収入の上に成り立つ“生活の維持”ではなく、まさに言葉通りの“生命の維持”が厳密な目的となる。明日も来週も来年も、今日と同じように、生命を維持するための食の生産を順調に繰り返し続けていけることが最も大切なのである。

 それに対して、職業や現金が溢れる社会は、人間が健康に生命を維持し続けているだけでは許されないような枠組みや制度で埋め尽くされているようにも見える。“時間に対する意味付けが違う”と上述したのは、生命の維持を続けていくことは大前提で、それとは無関係の付加価値をつけて生きていくことが半ば生き方として義務付けられているという意味でもある。
 明日の生命の維持のために今日という時間を使うなどということは、いつの間にか傍らに置かれ、例えば「社会の役に立つ」「自分にしかできないことを」といった美辞麗句が重宝される。まるでそれがさもよりよい生き方のように認識されている。それは、今日という時間に昨日までとは違う付加価値を、できることなら人とは違う付加価値をつけて過ごしていかなければならないのだと、社会がその構成員に要求している、ということだと言えはしないだろうか。

 キルギス族の少年は、そんな要求を無意識的にしてくる社会でこれから生きようとしている。語学のテープも、その要求に応えていくために存在しているのかもしれない。



Vol.60へ続く)

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 NHKスペシャル『新シルクロード第2部』番組宣伝用ハガキに作品採用

 2007年4月より放映スタート予定のNHKスペシャル『新シルクロード第2部』(7回シリーズ)の番組宣伝用ハガキに、イランで撮影した作品が採用されています。


 2007年度より朝日カルチャーセンター横浜校にて講師

 2007年6月より朝日カルチャーセンター横浜校にて、秋野の作品を紹介しながら旅のエピソードをお話しする講座が開講される予定です。詳細は追ってウェブサイト上でお知らせいたします。



 秋野深による、一眼レフ初心者向けの写真教室『はじめての一眼レフ 〜 シャッタースピードと絞りの基本をマスター 〜』の申し込み受け付けを始めました。
 「一眼レフカメラを持っているけど、いつもオート設定で撮影・・・」「シャッタースピードや絞りを自分で変えて撮ってみたいけどよくわからない・・・」そんな一眼レフ初心者のために、テーマを「露出」「シャッタースピード」「絞り」に絞った写真教室です。これらを使いこなせるようになると表現の幅はぐっと広がり、「こんなふうに撮りたい」という意欲も出てきます。
 サンプル写真としてご紹介するのは、秋野深が世界各地で撮影した写真です。旅や撮影のエピソードも合わせてお楽しみいただけます。

 日程:2007年2月21日〜3月10日(全3回、水曜or土曜で毎週選択制)
 場所:東京外国語大学本郷サテライト(東京・御茶ノ水)

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新メールマガジン『世界写真紀行』発行のお知らせ

 HTML形式メールマガジン『写真家・秋野深の世界写真紀行』を、2006年8月下旬より隔週でお届けします。
 これまでアメリカとアジア中心に撮影してきた作品の数々を毎回1作品、撮影地の情報やエピソードと共にお楽しみいただけます。被写体は、アメリカ西部の雄大な風景、ユーラシアの大自然、シルクロード諸国に残る歴史的建造物や宗教建築、東南アジアの子供たちなど多岐に渡ります。

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 壁マート(GMOモバイルアンドデスクトップ株式会社)にて、秋野深のデジタル作品集「シルクロード旅情」(10枚800円)を発売中です。 ⇒ 詳細
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>> 秋野深(あきの・じん)について
 1970年生まれ。福岡県出身。会社員生活を経て、現在はフリーランスの写真家・紀行作家。アメリカとアジア(シルクロード、イスラム圏、東南アジア)を主なフィールドとして、自然風景、建築物、人々の生活や文化を撮り続け、雑誌やウェブでは旅のフォトエッセイの連載も手掛けている。
 2006年より、アメリカ・インディアナ大学研究所を中心とする国際的な芸術と科学の研究・展示プロジェクト「Accuracy & Aesthetics」のオフィシャルフォトグラファーとして、5年にわたって世界5大陸の10都市を訪問・撮影予定。
 ニューヨークアートギャラリー「Renee Fotouhi Fine Art」への作品登録、ナショナルジオグラフィック・WWF(世界自然保護基金)の共同制作ウェブサイトへの写真提供をはじめ、作品は海外の媒体でも紹介されている。
 『イラン・思考の旅』で、第1回文学メルマ新人賞紀行文部門大賞を受賞。アメリカで開催された「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード」の2004、2005、2006のプロフェッショナル・ネイチャー/ランドスケープ部門で「オーナブルメンション」賞を3年連続受賞。
 ⇒ 活動や作品の詳細については、Jin Akino Photography をご覧ください。
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