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 もし、日曜日にカシュガルにいるのなら、バザールへ足を運んでみることをお奨めする。日曜大バザールの、凄まじいほどの活気や人出を体感することができるからだ。
 もし、日曜以外の日にもカシュガルにいるのなら、やはりバザールへ足を運んでみることをお奨めする。日曜大バザールの活気や人出が、いかに凄まじいものかを実感することができるからだ。

 カシュガルの街中を歩いていても、こんなふうに声をかけられることが多い。
「今度の日曜日はまだカシュガルにいる?」
「日曜バザールにはもう行った? まだなら今週行かなきゃ」
 カシュガルを訪れた外国人は、みんな日曜大バザールへ行くものだと、街の人々も思っているようなのだ。
 しかし、小さな街のバザールを訪れる時とは違って、日曜大バザールを訪れた外国人は目立つどころか、殺気さえ感じるほどの慌しさにただただ圧倒され、居場所探しに苦労することになると言っても言い過ぎではない。
 ぼんやりしていると、行き交う人々の通行の邪魔にもなり、下手をするとロバ車に追突されかねない。そこには、物を売り買いする人々がもたらす、ある種の"必死さ"が漂い、活気という表現が生ぬるく感じられるくらいだ。
 それほど、このカシュガルでは日曜日に開催される大バザールの存在感は大きい。

 日曜日になれば、まずはバザールへ行ってみる。地元の人達にとってはきっとそういうものなのだと思う。
 平日にバザールへ来る人が、何か必要な物があって買い物にやってくるのだとするなら、日曜にバザールへ集まる人々は、何を買うのかはともかく、とにかく行けば買いたくなるもので溢れている、何か買うものを見つけよう、という感覚でやってくるのかもしれない。

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 私がこれまで訪れたバザールの中でよく思い出すのは、イランの古都イスファハンにある王のバザールや、シリアの首都ダマスカスのスーク(市場のことをアラビア語ではスークという)だ。
 ただ、カシュガルのバザールは、そのどちらとも雰囲気を異にしている。イスファハンのバザールもダマスカスのスークも、ともにアーケードが頭上をしっかりと覆う屋内バザールであるのに対して、カシュガルでは大半の通路は覆われていない屋外バザールだと言える。
 アーケードがあって視界の中に空が入ってこないというだけで、そこには屋外とは違う独特の雰囲気が漂うものだ。通路を流れる風が香辛料や穀物の香りを運び、行き交う人々の足音や荷車の車輪の音がわずかに反響する。屋内は1日中日陰になっているため、日中でもひんやりとしていて、他とは隔絶された別世界にいるような感覚を味わったものだった。

 けれども、カシュガルのバザールでは、そこだけに凝縮されて存在している雰囲気を見つけることは難しい。むしろ、屋外バザールであるからか、バザールという場の雰囲気が外側へ向かって放出されているようにも感じられる。
 バザールの中の大通りで、バスやバイクが鳴らし続けるクラクションの音。荷車を引くロバや馬の蹄が舗装道路をたたく渇いた音。ロバや馬を操る人があてる鞭の音、そして掛け声。物を売り買いする人々の呼び声 ――― 。
 人や動物や物が作るどこまでも雑多な音の数々が、バザールから生まれては、どこにも篭ることなく反響することもなく消えてゆく。
 その音の放出は、日曜日の早朝から夕暮れ時まで、一瞬として絶えることなく、続くのである。

Vol.43へ続く)

>> 旅のウイグル語 Vol.42
 今回は、家族に関連する単語です。

ダダアパ
アカーイニー
ヘデスングル

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写真展開催中です
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会期:2006年2月20日(月)〜4月2日(日)
会場:ギャラリー&カフェバー「クラインブルー」
    (東京都千代田区/地下鉄神保町駅より徒歩2分)
詳細(写真展の告知ページへ)

アメリカ西部の大自然の営みが、長い時をへて創り出した天然の文様や色彩に焦点を当てた作品を展示します。
(作品はご購入いただけます)

撮影地:パリア・キャニオン、アンテロープ・キャニオン
キャニオン・エックス、カイバブ・ナショナル・フォーレスト、
ザイオン国立公園、グランド・ステアケース・エスカランテ国定公園
デスバレー国立公園、ヨセミテ国立公園など

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>> 秋野深(あきの・じん)について
 1970年生まれ。福岡県出身。会社員生活を経て、現在はフリーランスの写真家・紀行作家。アメリカとアジア(シルクロード、イスラム圏、東南アジア)を主なフィールドとして、自然風景、建築物、人々の生活や文化を撮り続け、雑誌やウェブでは旅のフォトエッセイの連載も手掛けている。
 2006年より、アメリカ・インディアナ大学研究所を中心とする国際的な芸術と科学の研究・展示プロジェクト「Accuracy & Aesthetics」のオフィシャルフォトグラファーとして、5年にわたって世界5大陸の10都市を訪問・撮影予定。
 ニューヨークアートギャラリー「Renee Fotouhi Fine Art」への作品登録、ナショナルジオグラフィック・WWF(世界自然保護基金)の共同制作ウェブサイトへの写真提供をはじめ、作品は海外の媒体でも紹介されている。
 『イラン・思考の旅』で、第1回文学メルマ新人賞紀行文部門大賞を受賞。アメリカで開催された「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード」の2004、2005のプロフェッショナル・ネイチャー/ランドスケープ部門で「オーナブルメンション」賞を2年連続受賞。
 ⇒ 活動や作品の詳細については、Jin Akino Photography をご覧ください。
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