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 新疆ウイグル自治区を旅していて非常に興味深いことの1つは、街がそれぞれ個性的で、それが初めて訪れた者にもかなりわかりやすい形で実感できることだと思う。
 多くの場合その個性は、地域や街の民族構成比の違いによるものなのだけれど、カシュガルに関して言えば、地理的な位置も大きな要因だと言えそうだ。

 現在カシュガルは、トルファンから西へ伸びる南疆鉄道の西端の終着駅となっている。南疆鉄道は、トルファンとカシュガルの間に位置するコルラという街まで敷設されていたのだが、1999年にコルラ-カシュガル間の約1000キロが完成し、カシュガルが中国国内の西の鉄道終着駅となった。それほど昔の話ではないのである。

 この新疆ウイグル自治区では、街が鉄道線路上にあるかどうかが、漢民族の移住の度合いをかなり左右しているのが実情だと言えそうだ。そのことはむしろ、タクラマカン砂漠の南側に位置し、まだ鉄道が通っていないホータンのような街を訪れると、ことさら実感させられることになる。

 広大な砂漠や荒野に点在する街にとっての鉄道というものは、人の移動や物流面での利便性、つまりは街の経済発展に大きく関係してくる存在だ。
 もし将来、現在カシュガルまで伸びている鉄道網がさらに西へ、あるいは南へ向かうとするなら、それもまた新たに鉄道網に飲み込まれる街の民族構成比を大きく変化させ、街の景観や雰囲気を変貌させることは容易に想像できる。

 カシュガルの西側に広がる大高原地帯、パミール高原の存在も、カシュガルの街をより個性的にしている要因のひとつだろう。
 古来よりシルクロード上の最大の難所とされてきたパミール高原は、東西を行き交う旅人の前に立ちはだかってきた。そして西へと向かう者は、カシュガルでパミール越えの準備を行い、西からやってきた者は、カシュガルを目指して過酷なパミールを越えた。

 私がアトシュから到着したカシュガルのバスターミナルにも、滞在した宿にも、異国情緒と言ってもよい雰囲気が溢れている。
 何よりも、カシュガルで見かけるパキスタンからの行商人の姿。それは、国境がもうすぐそばであること、ここが中国文化圏の最西地に近いことの証だ。

 それからこれは想像に過ぎないけれど、きっと西側からインド・パキスタンを経て、パミールを超えてカシュガルへやってきたら、日本人には独特の感慨があるかもしれない。おそらく、街中に溢れる漢字に目を奪われない人はいないだろう。東方の遥か彼方にあるはずの日本へ、突然近づいたような、そんな思いに浸ることになるのかもしれない。


Vol.37へ続く)

>> 旅のウイグル語 Vol.36
 今回は「何」に関する疑問詞です。
 「何?」=「ニメ?」についてはVol.7で紹介しましたが、前回、前々回に紹介した、「〜を」=「〜ニ」、「〜に」=「〜ゲ」、「〜から」=「〜ディン」を後につけることで、「何を」「何に」「何から」というふうに使うことができます。その際、「ニメ」の発音が若干変わります。

ニメ何をニムニ何にニムゲ何からニミディン

>> お知らせ(秋野深の作品掲載や活動など)
『中国語ジャーナル』2006年1月号(株式会社アルク)に作品掲載(12月9日発売)

巻頭の「チャイナ・グラフティ」に、中国・新疆ウイグル自治区のパミール高原で撮影した写真とエッセイが掲載されています。

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>> 秋野深(あきの・じん)について
 1970年生まれ。福岡県出身。会社員生活を経て、現在はフリーランスの写真家・紀行作家。アメリカとアジア(シルクロード、イスラム圏、東南アジア)を主なフィールドとして、自然風景、建築物、人々の生活や文化を撮り続け、雑誌やウェブでは旅のフォトエッセイの連載も手掛けている。
 2006年より、アメリカ・インディアナ大学研究所を中心とする国際的な芸術と科学の研究・展示プロジェクト「Accuracy & Aesthetics」のオフィシャルフォトグラファーとして、5年にわたって世界5大陸の10都市を訪問・撮影予定。
 ニューヨークアートギャラリー「Renee Fotouhi Fine Art」への作品登録、ナショナルジオグラフィック・WWF(世界自然保護基金)の共同制作ウェブサイトへの写真提供をはじめ、作品は海外の媒体でも紹介されている。
 『イラン・思考の旅』で、第1回文学メルマ新人賞紀行文部門大賞を受賞。アメリカで開催された「インターナショナル・フォトグラフィー・アワード」の2004、2005のプロフェッショナル・ネイチャー/ランドスケープ部門で「オーナブルメンション」賞を2年連続受賞。
 ⇒ 活動や作品の詳細については、Jin Akino Photography をご覧ください。
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