
砂漠が灼熱の地獄へと変貌する前に、私たちはトルファンへ戻った。本当は昼間のタクラマカン砂漠も経験してみたかったのだけれど、次の目的地であるクチャ行きのバスのチケットを買っていたので、私は急いで砂漠を後にせざるを得なかった。
新疆ウイグル自治区で最初に訪れたこのトルファンで、私は5日ほどを過ごしたが、この旅のなかでまたトルファンに戻ってくることができれば、とも思っている。1ヵ月半の旅は始まったばかりで、まだ旅の後半の日程まで思いを馳せるほどではない。けれど、これから南疆鉄道沿いの街をいくつか訪れて、カシュガルからパミール高原をパキスタン国境近くまで行き、タクラマカン砂漠の南側のホータンを経てウルムチに行くという大まかな行程は変わらないだろうから、ホータンからウルムチに向かう途中にトルファンに寄ることになるかもしれない。
1つの旅の中で、間隔を置いて同じ街を再び訪れるということは、実は私にとってはとても魅力的なことでもある。
初めて訪れた時には、どんな所であれ、何より新鮮味というものがある。街並みや交通機関やそこで暮らす人々の生活の様を、日が経つにつれて少しずつ学んで行く喜びも大きい。国や文化、言葉という意味でも初めての場所ならなおさらだ。
しかし、その後に別の街を訪れて再び戻ってきた時、そこが初めての街ではないというだけで、不思議な懐かしさを覚えることになる。そして、1度目には自分が持てなかった視点でその街を観察することができる。
さらに楽しみなのは、1度目の訪問で知り合った人々との再会だ。トルファンでは、ディリシャティやアリに本当に親切にしてもらい、いろいろなことを教えてもらったが、私はこれから彼らもまだ行ったことのない新疆ウイグル自治区の西部や南部の街を訪れる。私がトルファンに戻ってくれば、1度目の滞在中はできなかった、そんな街の話を彼らとすることもできるのである。
クチャ行きのバスに乗り込み、バスの発車を待ちながら、いつの間にか私はそんなふうに、トルファンへ戻ってきたときのことに思いを巡らせていた。
トルファンからクチャまでは、タクラマカン砂漠の北端の縁に沿って、西へ向かうことになる。昼前にトルファンを出て、夜にクチャへ到着する予定で時間にして約11時間、……のはずだった。
というのも、実際に私がそのバスでクチャへ到着したのは、翌日の昼前。実に23時間のバスの旅になってしまったのである。
(Vol.22へ続く)
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